移住って実際いくらかかるの?
「移住支援金が最大300万円」「住宅補助が100万円」——制度の情報はたくさん調べてきましたが、そもそも移住にいくらかかるのかを考えないと、支援金額の大小も判断できません。47都道府県792市を調べた経験をもとに、移住のコストを項目ごとに整理してみました。
移住コストの内訳
引っ越し費用
東京から地方への引っ越し費用は、距離と荷物量によりますが、家族世帯で20〜50万円が目安です。
| パターン | 費用目安 |
|---|---|
| 単身・荷物少なめ(関東→中部) | 8〜15万円 |
| 単身・荷物少なめ(関東→九州) | 15〜25万円 |
| 家族(関東→中部) | 20〜35万円 |
| 家族(関東→九州・四国) | 30〜50万円 |
| 家族(関東→北海道) | 35〜60万円 |
3〜4月の繁忙期は料金が1.5〜2倍になるので、時期をずらせるなら5月以降がおすすめです。
住宅関連の初期費用
賃貸なら敷金・礼金・仲介手数料で家賃の4〜5ヶ月分。地方の家賃が月5万円なら20〜25万円。
持ち家購入の場合は物件価格次第ですが、空き家バンクを使えば数百万円台の物件もあります。さらにリフォーム補助を活用すれば、初期費用をかなり抑えられます(詳しくは「空き家バンクとは何か」を参照)。
| 住宅パターン | 初期費用目安 |
|---|---|
| 賃貸(地方の2LDK〜3LDK) | 20〜30万円 |
| 空き家バンクで中古購入 | 100〜500万円 |
| 新築購入 | 2,000〜3,500万円 |
車の購入費
地方移住で見落としがちなのが車の費用です。792市を調べた印象として、公共交通機関だけで生活できる市は少数派。多くの地方都市で車は「あると便利」ではなく「必須」です。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 中古車購入 | 50〜150万円 |
| 新車購入 | 150〜300万円 |
| 維持費(年間) | 30〜50万円(保険、車検、燃料、税金) |
車を持っていない状態から移住する場合、これが一番大きな隠れコストになります。
雪国ならではの追加コスト
北海道・東北・北陸への移住の場合、さらに暖房費や除雪関連のコストがかかります。
| 項目 | 年間費用目安 |
|---|---|
| 暖房費(灯油・ガス代の増加分) | 10〜20万円 |
| スタッドレスタイヤ | 4〜8万円(2〜3年ごと交換) |
| 除雪機購入 | 10〜50万円(豪雪地帯で必要) |
これらを含めた雪国移住の詳細は「雪国への移住で知っておくべきこと」にまとめています。
収入の変化
転職を伴う移住の場合、収入が下がることがあります。一般的に地方の賃金水準は都市部より15〜30%低いとされています。
ただし、テレワーク移住なら収入を維持したまま生活費を下げられるのが大きなメリット。792市の調査では、テレワーク移住は移住支援金の対象にもなります(条件あり。詳しくは「テレワーク移住に対応した自治体」を参照)。
引っ越し費用の補助がある自治体
「引っ越し 補助金」で検索する方が多いので、調べてみました。引っ越し費用そのものを補助してくれる自治体は全国的には少数派ですが、確かに存在します。
| 自治体 | 制度名 | 内容 |
|---|---|---|
| 鹿角市(秋田県) | ふるさとライフ引越し支援補助金 | 市独自の引っ越し費用補助 |
| 上山市(山形県) | 若者移住引越し補助 | 若者の引越し費用を補助 |
| 田村市(福島県) | Uターン引越し支援 | Uターン者の引越し費用を支援 |
| 砺波市(富山県) | 移住・定住引越し支援事業補助金 | 移住者の引越し費用補助 |
| 飛騨市(岐阜県) | 引っ越し費用補助 | 包括的な移住パッケージの一部 |
| 四万十市(高知県) | UIJターン促進引越支援事業 | UIJターン者の引越し費用を支援 |
| 高知市(高知県) | 転入費用補助 | 三世代同居の子育て世帯。転入費用+定住費用で上限15万円 |
直接的な「引っ越し費用補助」ではないものの、転入奨励金や定住奨励金として結果的に引っ越し費用に充てられるお金がもらえる自治体もあります。
| 自治体 | 制度名 | 金額 |
|---|---|---|
| 鳥取市(鳥取県) | 転入若者奨励金 | 5〜10万円 |
| 佐野市(栃木県) | 転入奨励金 | 若者夫婦・子育て世帯が対象 |
| 坂東市(茨城県) | 転入子育て世帯奨励金 | 子育て世帯が住宅取得して転入 |
また、結婚新生活支援事業(新婚世帯の引越し費用+住居費を補助)を実施している自治体も全国にあります。新婚かつ移住の場合はこちらも確認するとよいでしょう。
ポイント: 引っ越し費用「専用」の補助は少ないですが、**移住支援金(最大100万円+子ども加算)**を引っ越し費用に充てることは自由です。移住支援金は使途の制限がないので、実質的に引っ越し費用を含む移住コスト全体をカバーする設計になっています。
支援制度でどこまでカバーできるか
パターン1: 単身・テレワーク移住
東京圏→地方の単身移住、テレワークで収入維持のケース。
| 項目 | 費用 | 支援制度 |
|---|---|---|
| 引っ越し | ▲15万円 | — |
| 賃貸初期費用 | ▲20万円 | — |
| 車購入(中古) | ▲80万円 | — |
| コスト合計 | ▲115万円 | |
| 移住支援金 | +60万円 | |
| 差引 | ▲55万円 |
支援金で約半分をカバーできる計算です。加えて、地方の家賃が月3〜4万円安くなると仮定すると、1年半ほどで元が取れる計算になります。
パターン2: 子ども2人の家族・住宅購入
夫婦+子ども2人で、空き家バンクを使った中古住宅購入のケース。
| 項目 | 費用 | 支援制度(手厚い市の例) |
|---|---|---|
| 引っ越し | ▲35万円 | — |
| 中古住宅購入 | ▲300万円 | — |
| リフォーム | ▲200万円 | — |
| 車購入(中古) | ▲100万円 | — |
| コスト合計 | ▲635万円 | |
| 移住支援金(世帯) | +100万円 | |
| 子ども加算(2人) | +200万円 | |
| 住宅取得補助 | +100万円 | |
| リフォーム補助 | +150万円 | |
| 支援合計 | +550万円 | |
| 差引 | ▲85万円 |
支援制度が充実した自治体なら、移住コストの大部分をカバーできる可能性があります。もちろんこれは「最大限もらえた場合」の試算で、実際はすべての条件を満たせるとは限りません。
どの自治体の支援が手厚いかは「移住支援の合計額が大きい自治体ランキング」にまとめています。
パターン3: 支援金対象外エリア
東京都内(多摩地域)間の引っ越しなど、移住支援金の対象外のケース。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 引っ越し | ▲10万円 |
| 賃貸初期費用 | ▲25万円 |
| コスト合計 | ▲35万円 |
| 移住支援金 | 0円 |
ただし青梅市のように独自の移住支援金(最大100万円)がある市もあります。東京圏の移住支援については「東京圏の移住支援金は本当にゼロなのか」で詳しく調べています。
地域別の「支援充実度」の傾向
792市を調べた感覚として、支援が手厚い地域とそうでない地域の傾向があります。
| 地域 | 移住支援金対象率 | 空き家バンク | お試し移住 | 傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 東北 | 100%(77/77市) | 90% | 45% | 全市が支援金対象。住宅支援も充実 |
| 北海道 | 100%(35/35市) | 83% | 31% | 全市対象。広大な土地を活かした住宅支援 |
| 中部 | 97%(159/164市) | 95% | 41% | 高い網羅率。空き家バンクほぼ全域 |
| 中国 | 93%(50/54市) | 98% | 72% | 空き家バンク・お試し移住が突出 |
| 九州・沖縄 | 91%(108/119市) | 84% | 39% | 沖縄を除くと高い対象率 |
| 四国 | 89%(34/38市) | 100% | 74% | 空き家バンク100%。お試し移住も充実 |
| 近畿 | 67%(84/125市) | 70% | 26% | 大阪府が全市対象外のため低め |
| 関東 | 39%(70/180市) | 62% | 16% | 東京圏が大半を占めるため最低 |
支援が手厚い傾向:
- 東北・北海道: 移住支援金100%対象+住宅支援+お試し移住がセットになっていることが多い
- 四国・中国: 空き家バンク・お試し移住が全国トップ。高知県はリフォーム補助率100%の自治体も
支援が少ない傾向:
- 関東の都市部: 東京圏は移住支援金対象外が多く、住宅補助も少ない
- 大阪府: 全33市が移住支援金対象外、お試し移住は0市
- 沖縄県: 全11市が移住支援金に不参加(詳しくはこちら)
「もらえる額」だけで決めないほうがいい理由
ここまで金額の話ばかりしてきましたが、792市を調べてきて一番感じたのは、支援金額だけで移住先を選ぶのは危険ということです。
理由はシンプルで、支援金は一度きりだけど、生活は毎日続くから。
月々の生活費(家賃、光熱費、食費、通勤費)、子どもの教育環境、医療アクセス、仕事の選択肢——これらの方が長期的には支援金額よりずっと大きなインパクトを持ちます。
支援金は「移住のハードルを下げるもの」であって、「移住先を決めるもの」ではないのかなと思いました。移住の準備全体を整理したい方は「移住準備チェックリスト」も参考にしてみてください。
※ この記事は個人の調査に基づくものです。金額は一般的な目安であり、実際の費用は個人の状況により大きく異なります。 ※ 支援制度の情報は2026年4月時点の調査です(47都道府県792市)。最新情報は必ず各自治体の公式ページでご確認ください。