「全部合わせたらいくら?」を調べた
移住支援金、住宅取得補助、リフォーム補助、子ども加算…。制度がバラバラに存在するので、1つの自治体でトータルいくらもらえるのかがなかなか見えません。792市のデータから、合計支援額が大きい自治体を探してみました。
前提条件
以下の条件で試算します。
- 世帯構成: 夫婦+子ども2人(18歳未満)
- 移住元: 東京圏(移住支援金対象)
- 住宅: 空き家バンクで中古住宅を購入+リフォーム
- 金額: 各制度の「最大額」を合算(すべての条件を満たした場合)
現実にはすべてを満たすのは難しいケースもあるので、「理論上の最大値」として見てください。
支援合計額が大きい自治体(試算)
| 順位 | 自治体 | 移住支援金 | 子ども加算 | 住宅・リフォーム | 合計(試算) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 南相馬市(福島県) | 200万※ | 200万 | 100万+ | 500万円超 |
| 2 | 萩市(山口県) | 100万 | 200万 | 200万 | 500万円規模 |
| 3 | 大月市(山梨県) | 100万 | 200万 | 150万+ | 450万円超 |
| 4 | 美祢市(山口県) | 100万 | 200万 | 150万 | 450万円規模 |
| 5 | 室戸市(高知県) | 100万 | 60万 | 270万 | 430万円規模 |
| 6 | 常陸太田市(茨城県) | 100万 | 200万 | 100万+ | 400万円超 |
| 7 | 加西市(兵庫県) | 100万 | 60万 | 230万 | 390万円規模 |
| 8 | 飛騨市(岐阜県) | 100万 | 30万 | 200万+α | 330万円超 |
※ 子ども加算は「18歳未満の子2人」で試算。室戸市は30万円/人、加西市は30万円/人、飛騨市は30万円/世帯(岐阜県は県統一で世帯単位)のため、他の自治体(100万円/人)と差が出ます。
※ 常陸太田市の「住宅・リフォーム 100万+」は転入促進助成金ですが、これは市が指定した定住促進住宅用地(2026年1月時点で里美白幡台団地の5区画)を取得して住宅を建てる方だけが対象です。転入者一般が使える制度ではないので、この行だけ前提が他市と違います(2026年8月8日に確認)。
※ 室戸市の空き家改修費補助は、令和8年4月1日施行の要綱改正で上限が240万円から270万円に増額されました(この記事も当初は240万円で試算していました)。なお市の告知ページと市の移住ポータルは240万円のままで、上限270万円は市の例規集(要綱の別表)と高知県の移住ポータルの記載です。
※ 「100万+」「200万+α」のように「+」が付いている行は、上乗せ分の上限を確認できていないものです。合計額の並び順はこの「+」を含まない金額で付けています。
※ 南相馬市は12市町村移住支援金(基本額は全国対象)を含みます。ただし子ども加算100万円/人のほうは「12市町村に住民票を移す直前に、連続して3年以上、東京圏(条件不利地域を除く)に在住」が要件なので、大阪・名古屋からの移住ではこの200万円は付きません。また12市町村移住支援金と国の移住支援金は併用できません(どちらか一方)
※ 美祢市・萩市の移住支援金100万円と子ども加算200万円は、東京23区に在住または23区へ通勤していた方のルートの額です。 山口県は移住元によって額が2段階に分かれ、愛知・京都・大阪・兵庫・広島・福岡からの移住は世帯50万円・子ども加算50万円/人とちょうど半分になります。その場合の合計は美祢市で250万円規模、萩市で350万円規模です(2026年8月5日追記)
※ 美祢市が1位から4位に下がりました。 この記事では当初、美祢市の住宅取得補助を300万円として合計600万円規模と試算していましたが、300万円の「みね暮らし定住応援事業」は令和8年3月31日までに取得した住宅が対象で、令和8年4月1日以降の取得分は後継の「マイホーム応援事業」(上限150万円)に切り替わっていました。あわせて美祢市の住宅補助は対象が「市民」で移住者専用ではなく(転入は加算項目のひとつ)、交付も10回に分割して毎年度1回ずつ・10万円以下の部分は商品券です。2026年8月5日に訂正しました。
- 情報源: 住まいの支援(すんでみ〜ね・美祢市)
- 調査日: 2026年8月5日
南相馬市(福島県)が最も大きくなりました。 ただしこれは12市町村移住支援金(世帯200万円)と子育て加算(1人100万円×2人)を前提とした額で、加算のほうには東京圏に連続3年以上住んでいたという条件が付きます。「どこから移住するか」で結論が変わる点は、この表全体に言えることです。
福島12市町村は「対象者が最も広い」
金額だけでなく、対象者の広さで突出しているのが福島県の12市町村です。
| 特徴 | 通常の移住支援金 | 12市町村 |
|---|---|---|
| 移住元 | 東京圏限定 | 全国どこからでも |
| 世帯額 | 100万円 | 200万円 |
| 子ども加算 | 100万円/人 | 100万円/人 |
大阪や名古屋からの移住でも支援金がもらえる。しかも金額も大きい。これは他の自治体にはない強みです。
「最大額」は本当にもらえるのか
正直に書きます。上の表の金額はすべての条件を満たした場合の理論値です。実際には以下のような制約があります。
併用制限: 移住支援金と住宅取得補助をどちらか一方しかもらえない自治体もあります。事前に確認が必要です。
予算枠: 住宅取得補助やリフォーム補助は年度ごとの予算枠があります。年度途中で枠が埋まることも。
条件の厳しさ: 「空き家バンク登録物件であること」「5年以上の定住が条件」「就業条件がある」など、細かい条件があります。
申請のタイミング: 「住宅購入前に申請が必要」な制度もあります。先に買ってしまうと対象外になるケースがあるので要注意。
「合計額」だけで見えない視点
792市を調べてきて、支援金額だけでは見えない重要な点があります。
1. 毎月の生活コスト 支援金は一度きりですが、家賃・光熱費・通勤費は毎月かかります。家賃が月5万円安い地域なら、年間60万円。5年で300万円。これは支援金に匹敵する金額です。
2. 子育て環境の長期的な影響 医療費助成が18歳まで無料なら、子ども2人で年間の通院費がかなり変わります。明石市(兵庫県)の「5つの無料化」のように、保育料・給食費まで無料なら年間数十万円のインパクト。
3. 通勤・アクセス テレワーク移住で収入を維持できるなら、支援金額が少ない自治体でも長期的にはプラスになります。
地域別の傾向
支援が手厚い自治体が多い地域をざっくりまとめます。
| 傾向 | 地域 |
|---|---|
| 移住支援金+住宅支援が充実 | 東北、中部(岐阜・長野)、中国(山口) |
| 空き家リフォーム補助が突出 | 四国(高知・徳島)、近畿(京都北部) |
| 子育て支援が全国トップクラス | 兵庫(明石)、鳥取、山口 |
| 移住元の枠が広い | 福島12市町村(全国)、大分(全国型)、宮崎(三大都市圏+福岡)、福井(全国型)、山口(東京圏+6府県)、徳島(大阪圏) |
調べてみて分かったこと
- 理論上450〜500万円規模の支援が可能な自治体がある。 南相馬市・萩市・大月市・美祢市など
- 「最大額」と「実際にもらえる額」は違う。 併用制限、予算枠、条件の確認が必須
- 支援金は移住判断の一要素。 毎月の生活コストや子育て環境の長期的な影響のほうが大きい
- 福島12市町村は金額+対象者の広さで最強。 全国どこからでも対象
- ランキングは参考程度に。 実際に移住する際は、金額だけでなく暮らしの質を総合判断すべき
繰り返しになりますが、支援金額で移住先を決めるのはおすすめしません。でも「どの自治体がどれくらい移住者を歓迎しているか」の指標としては参考になります。
※ この記事は個人の調査に基づくものです。金額は各制度の最大額を合算した理論値であり、実際にすべて受給できることを保証するものではありません。 ※ 調査データは2026年4月時点のものです(47都道府県792市)。最新情報は必ず各自治体の公式ページでご確認ください。