「東京圏だから移住支援金がもらえない」は本当か
移住支援金は「東京圏から地方へ」が基本の枠組みです。じゃあ東京圏に住んでいる人が東京圏内で引っ越しても何ももらえないのか? そもそも「東京圏」の線引きはどこなのか? 792市のデータを調べてみました。
まず数字を見てみる
792市のうち、国の移住支援金制度の対象になっていないのは**175市(22%)**でした。
| 都道府県 | 対象外の市 | 全体 | 対象外率 |
|---|---|---|---|
| 埼玉県 | 34市 | 40市 | 85% |
| 大阪府 | 30市 | 33市 | 91% |
| 東京都 | 26市 | 26市 | 100% |
| 千葉県 | 26市 | 37市 | 70% |
| 神奈川県 | 18市 | 19市 | 95% |
| 沖縄県 | 11市 | 11市 | 100% |
| 京都府 | 7市 | 15市 | 47% |
| 茨城県 | 6市 | 32市 | 19% |
| 愛知県 | 5市 | 38市 | 13% |
| 兵庫県 | 4市 | 29市 | 14% |
| 愛媛県 | 4市 | 11市 | 36% |
| 広島県 | 3市 | 14市 | 21% |
| 岡山県 | 1市 | 15市 | 7% |
東京都は全26市が対象外です。沖縄県も全11市が不参加(全国唯一、移住人気が高すぎて行政支援の必要性が低い構造)。埼玉県もほぼ全滅(40市中34市)。大阪府は東京圏ではないのに91%が対象外——これは大阪府が愛知県とともに「移住支援金の送出側」に位置づけられているためです。
「東京圏」の線引きが面白い
実は「東京圏=全部ダメ」ではありません。東京圏内でも条件不利地域に指定されている市は対象になります。
茨城県は「東京圏だけど対象」が多い
茨城県は地理的には東京圏に含まれますが、32市中26市が移住支援金対象です。つくばエクスプレスや常磐線沿線の6市(つくば市、守谷市、取手市、牛久市、龍ケ崎市、土浦市)を除けば、ほとんどの市が条件不利地域として対象に入っています。
常陸太田市はテレワーク移住奨励金(最大100万円)や転入促進助成金(最大100万円)など独自制度も充実しています。
千葉県は「外房・南房総・北東部」が対象
千葉県37市のうち対象は11市だけ。東京に近い西側(船橋市、松戸市、柏市など)はほぼ全滅で、対象になるのは外房(いすみ市、勝浦市)、南房総(館山市、鴨川市)、北東部(銚子市、旭市)の条件不利地域です。
いすみ市は「住みたい田舎ランキング」で8年連続1位の実績があり、移住支援金なしでも人気の自治体です。
神奈川県はたった1市だけ
神奈川県19市のうち対象はなんと**三浦市だけ**。横浜も川崎も相模原も全部対象外です。三浦市は三浦半島の先端に位置し、条件不利地域として唯一対象になっています。
埼玉県は6市のみ
埼玉県40市では、秩父市を筆頭に、飯能市、本庄市、深谷市、日高市、横瀬町の周辺6市のみが対象。さいたま市や川口市はもちろん対象外です。
対象外でも独自制度がある自治体
国の移住支援金の対象外でも、自治体独自の制度を設けているケースがあります。これが意外と見落とされがちです。
東京都の独自制度
東京都(多摩地域)26市は全市が対象外ですが、いくつかの市は独自の移住支援を行っています。
- 青梅市: 独自の移住支援金最大100万円+空き家バンク+お試し移住補助。多摩地域で最も手厚い
- あきる野市: KOTOSUM移住サイト運営+住宅取得支援最大100万円
- 福生市: 優良住宅取得推進事業(固定資産税相当額を最長5年間助成)
大阪府の独自制度
大阪府33市も91%が対象外ですが、独自に動いている市があります。
大阪府の3市だけが対象
大阪府で国の移住支援金対象なのは富田林市、河内長野市、千早赤阪村周辺の3市のみ。南河内エリアの条件不利地域です。
地域別の「対象率」を比べてみた
| 地域 | 対象市 | 全市 | 対象率 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 35市 | 35市 | 100% |
| 東北 | 77市 | 77市 | 100% |
| 中部 | 159市 | 164市 | 97% |
| 中国 | 50市 | 54市 | 93% |
| 九州・沖縄 | 108市 | 119市 | 91% |
| 四国 | 34市 | 38市 | 89% |
| 近畿 | 84市 | 125市 | 67% |
| 関東 | 70市 | 180市 | 39% |
北海道と東北は100%対象。九州・沖縄は沖縄県全11市が不参加のため91%に。関東は39%しか対象にならない。同じ日本なのに、住んでいる場所で使える制度がここまで違うのは、正直驚きました。
調べてみて分かったこと
- 東京圏=全部ダメではない。 条件不利地域なら東京圏内でも対象になる
- 茨城県は32市中26市が対象。 東京圏に含まれるが実質的にはほぼ対象
- 神奈川県は三浦市だけ。 埼玉県も6市のみ。首都近郊はかなり厳しい
- 対象外でも独自制度がある市がある。 青梅市や泉佐野市のように国の制度に頼らず独自路線を取る自治体もある
- 大阪府は東京圏ではないのに91%が対象外。 「送出側」の位置づけのため
移住支援金の対象かどうかは確かに大事ですが、それだけで移住先を決めるのはもったいない。独自制度や住宅支援、子育て支援まで含めて比較すると、見え方がだいぶ変わります。
※ この記事は個人の調査に基づくものです。制度の詳細や最新情報は、必ず各自治体の公式ページでご確認ください。 ※ 調査データは2026年4月時点のものです(47都道府県792市)。