空き家バンクってなに?
空き家バンクは、自治体が運営する空き家の情報提供サービスです。地域にある空き家の所有者と、移住などで住まいを探している人をマッチングする仕組みで、多くの自治体がウェブサイト上で物件情報を公開しています。
一般的な不動産サイトとの大きな違いは、自治体が間に入っていること。営利目的ではないので、物件の掲載は無料のことが多く、地域の空き家活用という公益的な目的で運営されています。
792市を調べてみた結果
このサイトで調査した47都道府県792市のうち、644市(81%)が空き家バンクを運営していました。
地域別に見ると、かなり差があります。
| 地域 | 運営あり | 全市数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 四国 | 38市 | 38市 | 100% |
| 中国 | 53市 | 54市 | 98% |
| 中部 | 156市 | 164市 | 95% |
| 東北 | 69市 | 77市 | 90% |
| 九州・沖縄 | 100市 | 119市 | 84% |
| 北海道 | 29市 | 35市 | 83% |
| 近畿 | 88市 | 125市 | 70% |
| 関東 | 111市 | 180市 | 62% |
**四国は全38市で空き家バンクを運営しており、全国で唯一の100%**です。中国地方も98%とほぼ全域。一方、関東は62%にとどまります。空き家バンクを持っていない148市は主に東京圏や大阪府の都市部に集中していました。
都市部で運営率が低い理由ははっきりしていて、人口が流入するエリアでは空き家対策の優先度が低いからです。東京23区の特別区や大阪市内の区はそもそも空き家バンクの必要性が薄い。逆に、人口減少が進む地方ほど空き家バンクが標準装備になっています。
空き家リフォーム補助金 — 自治体差がすごい
空き家バンクとセットでよく出てくるのが**「空き家リフォーム補助金」**です。空き家バンクに登録された物件を購入・賃借してリフォームする場合に、自治体が工事費の一部を補助してくれる制度です。
「空き家 補助金」で検索する人が多いのも納得で、この補助金は自治体によって上限額が全然違います。
上限額が高い自治体の例
792市を調べた中で、リフォーム補助金が特に手厚い自治体をピックアップしました。
| 自治体 | 上限額 | 補助率 | 条件・備考 |
|---|---|---|---|
| 吉野川市(徳島県) | 最大320万円 | — | 改修補助としては調査した中で最高額クラス |
| 佐久市(長野県) | 最大240万円 | 2/3以内 | 10年以上地域活性化施設として使用が条件 |
| 白山市(石川県) | 最大200万円 | — | 白山麓地域の空き家活用に注力 |
| 静岡市(静岡県) | 最大200万円 | 2/3以内 | 移住者・子育て世帯・40歳未満は倍額(通常100万円) |
| 上越市(新潟県) | 最大200万円 | 2/3 | — |
| 萩市(山口県) | 150〜200万円 | — | 55歳以下 or 18歳以下の子ども世帯 |
| 佐渡市(新潟県) | 最大120万円 | — | 若者・子育て世帯は上限アップ |
| 韮崎市(山梨県) | 上限100万円 | 50% | 解体補助も別途100万円あり |
| 安来市(島根県) | 上限100万円 | 1/2 | 島根県内最高額 |
一方で、上限50万円以下の自治体もたくさんあります。同じ県内でも市によって上限額が3〜4倍違うことは珍しくありません。
補助率にも注目
上限額だけでなく、補助率(工事費の何割を出してくれるか)も重要です。
- 補助率1/2(50%) — もっとも多いパターン。工事費200万円なら100万円補助
- 補助率2/3(約67%) — 手厚い。静岡市・上越市・佐久市など
- 補助率100% — 高知県の一部自治体(室戸市・土佐清水市)で上限210〜240万円
高知県の補助率100%は調べていて驚きました。工事費がそのまま返ってくる(上限あり)というのは、過疎化が深刻な地域ならではの思い切った施策です。
「空き家バンク経由」が条件
ここが重要なポイントですが、多くの自治体でリフォーム補助金は**「空き家バンクに登録された物件であること」が支給条件**になっています。空き家バンクを介さずに個人間で売買した物件は対象外になることが多い。
つまり、リフォーム補助金を使いたいなら:
- まず自治体の空き家バンクで物件を探す
- 空き家バンク経由で物件を取得する
- その後にリフォーム補助金を申請する
…という順番になります。先に物件を買ってしまうと補助金が使えないケースがあるので、順番を間違えないことが大切です。
空き家バンクと民間不動産サイトの違い
移住で住まいを探すとき、空き家バンクと民間の不動産サイト(SUUMO、HOME’Sなど)のどちらを使えばいいのか。両方見てみた感想をまとめます。
| 空き家バンク | 民間不動産サイト | |
|---|---|---|
| 運営 | 自治体(非営利) | 民間企業(営利) |
| 物件数 | 少ない(数件〜数十件) | 多い |
| 価格帯 | 安め(数十万〜数百万円台も) | 市場価格 |
| 物件の状態 | バラつきが大きい | 比較的安定 |
| 仲介 | 自治体が橋渡し or 提携不動産会社 | 不動産会社 |
| 補助金 | 空き家バンク経由が条件の補助金あり | なし |
使い分けのポイント:
- とにかく安く手に入れたい → 空き家バンクに掲載される物件を待つ
- すぐに住める状態の物件がいい → 民間不動産サイトのほうが見つかりやすい
- リフォーム補助金を使いたい → 空き家バンク登録物件であることが条件の自治体が多い
実際には両方チェックするのが一番いいと思います。
全国版の空き家バンクもある
各自治体が個別に運営する空き家バンクとは別に、全国の空き家情報を横断的に検索できるサービスもあります。
国土交通省の後押しで、LIFULL HOME’SとアットホームがそれぞれA全国版空き家・空地バンクを運営しています。「どの地域にするか決まっていないけど、とりあえず空き家を見てみたい」という段階なら、ここから探すのが便利です。
ただし、全国版に掲載されていない物件も多いので、気になる自治体が見つかったらその自治体の空き家バンクを直接チェックするのが確実です。
成約実績が多い自治体もある
空き家バンクの活用度は自治体によって大きく差があります。中でも成約件数が突出して多い自治体がいくつかあります。
- 三豊市(香川県) — 12年間で成約592件は全国トップクラス
- 江津市(島根県) — 2006年に空き家バンクを開設した全国の先駆者
- 尾道市(広島県) — NPOによる空き家再生プロジェクトが全国モデル(140件以上マッチング)
成約が多い自治体には共通点があって、専任のコーディネーターがいること、リフォーム補助金がセットで整備されていること、物件の掘り起こしを積極的にやっていることが挙げられます。詳しくは「空き家バンクの成約実績が多い自治体を調べてみた」にまとめています。
利用するときの注意点
792市の空き家バンク情報を調べる中で、気をつけたほうがいいと感じた点がいくつかあります。
物件数は少ないことが多い: 空き家バンクに登録されている物件は、自治体によっては数件しかないことも。「選び放題」ではなく、「いい物件が出たらすぐ動く」くらいの心構えが必要です。
物件の状態にバラつきがある: 民間の不動産取引と違って、物件の品質は保証されていません。築年数が古く、大規模なリフォームが必要な物件も含まれています。必ず現地を見てから判断すべきです。
所有者との直接交渉になる場合がある: 自治体は基本的にマッチング(情報提供)をするだけで、契約交渉は当事者間で行う場合があります。提携不動産会社が仲介に入ってくれる自治体と、そうでない自治体があるので、事前に確認しましょう。
解体費用にも補助がある自治体がある: 購入した空き家を解体して新築する場合の「空き家解体補助」がある自治体もあります。たとえば韮崎市(山梨県)は解体補助が上限100万円。改修ではなく解体→新築という選択肢を取る場合は、こちらも確認するとよいです。
よくある疑問
Q. 空き家バンクの物件は無料でもらえる?
稀にあります。「無償譲渡」として掲載される物件がごく少数ありますが、リフォーム費用は自己負担です。固定資産税の負担から逃れたい所有者が無償で手放すケースです。ただし、物件の状態は要注意で、大規模改修が必要なことがほとんどです。
Q. 空き家バンクはどの自治体にもある?
792市のうち644市(81%)にあります。四国は100%、中国は98%ですが、関東は62%と地域差があります。東京23区や大阪市内にはありません。
Q. リフォーム補助金は誰でももらえる?
多くの自治体で「移住者」「年齢制限(40歳以下・55歳以下など)」「子育て世帯」といった条件があります。また、市内業者に工事を発注することが条件の自治体も多いです。必ず申請前に条件を確認してください。
Q. 空き家バンクの物件と一般の中古住宅、何が違う?
一番の違いは「補助金が使えるかどうか」です。空き家バンク登録物件なら改修補助が出る自治体が多い。一般の中古住宅購入では使えない補助金がある、というのが実質的な差です。物件の質自体は、空き家バンクのほうがバラつきが大きい傾向があります。
調べてみて分かったこと
- 空き家バンクは81%の市(644/792市)が運営している。 もはや移住支援の標準インフラと言っていい。四国は100%、中国は98%
- リフォーム補助金の上限額は自治体によって大きく違う。 最大320万円から50万円以下まで、同じ県内でも3〜4倍の差がある
- 補助率も50%〜100%まで幅がある。 高知県の補助率100%は全国的にも珍しい
- 「空き家バンク経由」が補助金の条件。 先に個人間売買してしまうと対象外になる
- 物件数は全体的に少なめ。 空き家はたくさんあるのに空き家バンクへの登録は進んでいない、というギャップがある
- 空き家バンクだけで住まいを決めるのは難しい。 民間不動産サイトとの併用が現実的
空き家バンクは「安く住まいを手に入れるチャンス」として魅力的ですが、物件の状態や数の問題もあるので、焦らずじっくり探すのがよさそうです。各市の具体的な制度内容は、都道府県一覧から各市のページで確認できます。
※ この記事は個人の調査に基づくものです。制度の詳細や最新情報は、必ず各自治体の公式ページでご確認ください。 ※ 調査データは2026年4月時点のものです(47都道府県792市)。