埼玉県40市の移住支援制度を比較してみた
📅 調査期間: 2026年3月18日(2026年8月2日に移住支援金の対象市町村を再確認/2026年8月8日に7市のこども医療費を担当課ページで再確認) ※ 個人調査です。最新情報は各自治体の公式ページでご確認ください。
調べたこと・調べ方
埼玉県には40の市があります(全国最多)。すべての市の公式サイトを確認し、移住支援金・住宅補助・子育て支援を調べて比較表にまとめました。
- 調査対象: 埼玉県の全40市
- 情報源: 各市の公式サイト、埼玉県移住ポータル「住むなら、埼玉。」
- 調査日: 2026年3月18日(移住支援金の対象市町村・加算額は2026年8月2日に県公式で再確認。戸田市・吉川市、および深谷市・日高市・幸手市は同日に再調査)
埼玉県の特殊事情: 埼玉県は「東京圏」に含まれるため、国の移住支援金の対象外と思われがちですが、東京23区に在住・通勤していた方が県内の対象市町村に移住する場合は支援金の対象になります。ただし対象は40市中3市のみで、大半の市は対象外です。
移住支援金の対象市
埼玉県の移住支援金(国・県連携)の対象は、人口減少が進む地域に限定されています。県が公表している対象地域は15市町村で、そのうち「市」は3市です。残る12は町村(越生町・小川町・川島町・吉見町・鳩山町・ときがわ町・横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町・東秩父村・神川町)で、このサイトの調査対象である40市のうち対象となるのは以下の3市だけです。
| 市名 | 単身 | 世帯 | 子ども加算(1人) | 各市ページ |
|---|---|---|---|---|
| 秩父市 | 60万円 | 100万円 | 30万〜100万円 | 詳細 |
| 飯能市 | 60万円 | 100万円 | 30万円 | 詳細 |
| 本庄市 | 60万円 | 100万円 | 30万円 | 詳細 |
ポイント:
- 40市中、移住支援金の対象は3市のみ。さいたま市・川越市・川口市・所沢市など大都市は対象外
- 子ども加算は県の表記が「18歳未満の世帯員を帯同して移住した場合は30万〜100万円を加算」となっていて、全国一律の100万円ではなく市町村ごとに額が決められています。当サイトで確認できた範囲では飯能市・本庄市が1人につき30万円、秩父市は30万〜100万円の範囲(市に要確認)でした
- 県のページには「対象15市町村へ移住した場合最大200万円が支給されます」と書かれています(世帯100万円に子ども加算を積んだ場合の額と思われます)
- 秩父市は独自の要件(市出身者・ふるさと納税・お試し居住利用者のいずれか)が追加で必要
対象外の市はどうなっているのか
対象外の37市には、国の移住支援金の代わりになる一時金があるとは限りません。今回あらためて調べた戸田市では、市の補助金等一覧(2026年4月1日現在)を通して確認しても、移住・転入を条件にした支援金や引越費用の補助は見当たりませんでした。吉川市も同様で、移住そのものを条件とする市独自の一時金は確認できていません。
一方で、下に挙げるように独自の定住支援を持つ市もあります。「対象外=何もない」ではなく、市によって差がある、というのが調べた印象です。
独自の移住・定住支援制度がある市
移住支援金の対象外でも、独自の制度を設けている市があります。
| 市名 | 独自制度 | 各市ページ |
|---|---|---|
| 熊谷市 | 新幹線通勤補助(月最大2万円×2年) + 固定資産税免除(最大5年) | 詳細 |
| 秩父市 | 若者就職奨励金(20万円・45歳以下) + 出産祝い金(第3子以降50万円) | 詳細 |
| 飯能市 | 飯能住まい事業補助金(最大100万円) + 農のある暮らし移住体験ツアー | 詳細 |
| 川口市 | 若年者家賃補助(月1万円×最長3年) + 奨学金返還支援(年最大12万円×5年) | 詳細 |
| 行田市 | 奨学金返還支援(年最大12万円×3年) + 3歳未満児保育料完全無償化 | 詳細 |
| 深谷市 | 市独自の「深谷市移住支援金」を地域通貨ネギーで支給(3万negi単位の積み上げ) + 遠距離通勤支援 | 詳細 |
| 日高市 | 移住・定住促進事業(住まいる支援金・Uターンリフォーム支援・エコカー等購入支援・ペーパードライバー講習支援) | 詳細 |
| 鶴ヶ島市 | 多世代同居・近居住宅取得補助金(最大100万円+転入加算) | 詳細 |
| 坂戸市 | 多世代近居住宅取得補助(最大70万円) + 空き家改修補助(最大50万円) | 詳細 |
| 幸手市 | しあわせ家族ウェルカム補助金(上限30万円)は令和7年度で終了。空き家バンク仲介手数料補助は継続 | 詳細 |
この表を見るときの注意: ここに載っているのはすべて市が独自に実施している制度で、国の移住支援金とは別物です。特に深谷市の「深谷市移住支援金」は国の制度と名前がほぼ同じですが、支給は地域通貨ネギーで、金額の桁も別です。当サイトでも当初この2つを混同して、深谷市・日高市・幸手市の3市を国の移住支援金の対象として扱ってしまっていました(2026年8月2日に県公式の対象市町村一覧で確認して修正)。「市独自の移住補助金がある」ことと「国の移住支援金の対象である」ことは別、というのは今回いちばん引っかかったポイントです。
住宅支援の比較
空き家バンク
40市中34市が空き家バンクを運営。以下の広域連携型が特徴的です。
| 連携名 | 参加市 |
|---|---|
| 埼玉県北部地域空き家バンク | 熊谷市・深谷市・本庄市 等 |
| ちちぶ空き家バンク | 秩父市(+横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町) |
| 桶川市・鴻巣市・北本市等の合同バンク | 桶川市・鴻巣市・北本市 等 |
「制度がある」と「物件がある」は別物でした。 今回あらためて確認した戸田市・吉川市はどちらも空き家バンクを運営していますが、登録物件は2026年8月時点でゼロでした。吉川市のほうは逆に利用希望者が35件登録されています。買いたい人はいても、東京への通勤圏では空き家が不動産市場で普通に流通してしまうため、バンクに回ってこないのではないか——というのはあくまで想像ですが、上の「34市」という数字は制度の有無を数えたものだという点は補っておきます。
住宅取得・リフォーム補助がある市(主なもの)
| 市名 | 制度名 | 上限額 |
|---|---|---|
| 飯能市 | 飯能住まい事業補助金 | 最大100万円 |
| 鶴ヶ島市 | 多世代同居・近居住宅取得補助金 | 最大100万円+加算 |
| 坂戸市 | 多世代近居住宅取得補助 | 最大70万円 |
| 秩父市 | 移住促進事業助成金(空き家リフォーム) | 最大60万円+子ども加算 |
| 戸田市 | 空き家への住み替え補助金(改修事業) | 基準額40万円+加算最大20万円(補助率1/2) |
| 蕨市 | 三世代ふれあい家族住宅取得補助金 | 最大50万円 |
| 春日部市 | 空き家リノベーション助成 | 最大40万円 |
| 東松山市 | 移住促進空き家利活用補助金 | 最大40万円 |
| 吉川市 | 旭・三輪野江地区三世代同居等支援補助 | 基礎20〜30万円+空き家加算10万円 |
| 熊谷市 | 三世代ふれあい家族住宅取得等応援事業 | 上限25万円 |
※ 戸田市の改修事業は空き家バンク登録物件の購入者向けで、加算は子育て世帯10万円・三世代同居/近居5万円・市内業者施工5万円。吉川市は旭小学校区・三輪野江小学校区などの対象地区限定で、新築・購入は500万円以上といった費用要件があります。
リフォーム補助(移住要件なし・在住者向け)
移住を条件にしないリフォーム補助を持つ市もあります。転入直後は使えないことが多いので、引っ越し後の選択肢として見ておくと良さそうです。
| 市名 | 制度名 | 補助額 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 戸田市 | 住宅改修資金助成制度 | 対象工事費の5%以内・上限10万円 | 市内に1年以上居住していることが条件 |
| 吉川市 | 住宅改修費補助事業 | 対象工事費(税抜)の10%・上限10万円 | 市内に1年以上住民登録が条件。年度内に一次・二次募集がある |
子育て支援の比較
こども医療費助成
埼玉県のこども医療費助成は市町村がそれぞれ実施する制度で、県が対象年齢や自己負担を条例で決めているわけではありません。そのため「県内は一律」とは言い切れないのですが、2026年8月8日に7市の担当課ページで内容を確認したかぎりでは、対象年齢・所得制限・自己負担のどれもよく揃っていました。
| 市 | 対象年齢 | 所得制限 | 窓口の自己負担 | 入院時食事療養標準負担額 |
|---|---|---|---|---|
| 朝霞市 | 18歳到達後最初の3月31日まで | なし | なし(保険診療の一部負担金を全額助成) | 未確認 |
| 東松山市 | 18歳到達後最初の3月31日まで | なし | なし | 助成対象 |
| 入間市 | 18歳到達後最初の3月31日まで | なし | なし | 未確認 |
| 鴻巣市 | 18歳到達後最初の3月31日まで | なし | なし | 平成27年4月診療分から助成を廃止 |
| 志木市 | 18歳到達年度末まで(乳幼児・児童生徒の2本立て) | なし | なし | 未確認 |
| 草加市 | 18歳到達後最初の3月31日まで(中学卒業〜18歳の通院は令和6年4月1日診療分から) | なし | なし | 未確認 |
| 和光市 | 18歳到達後最初の3月31日まで | なし | なし | 助成できないものとして明記 |
助成の受け取り方も7市で共通していて、埼玉県内の医療機関なら受給資格証の提示で窓口負担なし(現物給付)、県外の医療機関や1医療機関1か月21,000円以上のときは窓口で支払ったあとの償還払いになります。現物給付が県内全域に広がったのは令和4年10月からです。
唯一はっきり割れていたのが入院時の食事代(入院時食事療養標準負担額)の扱いです。 東松山市はこれも助成対象に含めていますが、鴻巣市は平成27年4月診療分で助成をやめており、和光市は「助成できないもの」として明記しています。対象年齢が同じでも中身が同じとは限らない、という分かりやすい例だと思います。
※ 上の表に載せているのは今回内容を確認した7市だけです。残り33市は対象年齢・自己負担・所得制限のいずれも再確認していないため、この7市の内容を県内全市に当てはめて読まないでください ※ 当初この節は「埼玉県の全40市が18歳の年度末までこども医療費を助成しています」と書いていましたが、40市すべてを個別に確認したわけではなかったため、2026年8月8日に確認できた範囲の記述に改めました
給食費無償化
| 市名 | 制度内容 |
|---|---|
| 所沢市 | 市立小中学校の給食費を完全無償化(2024年1月〜) |
| 坂戸市 | 小中学校給食費無償化 |
| 戸田市 | 中学校2025年4月から、小学校2026年4月から給食費無償(第3子以降の減免制度は終了) |
| 行田市 | 多子世帯学校給食費給付(3人目以降) |
※ 令和8年度から国の「学校給食費の抜本的な負担軽減」が始まっています。吉川市の例では、小学校は月額5,200円(1食310円)が保護者負担なし、中学校は月額6,100円のうち市が1,200円を負担して保護者負担4,900円、という形になっていました。市独自の無償化なのか国の負担軽減なのかで見え方が変わるので、各市の最新の案内で確認したほうが良さそうです。
出産祝い金・応援金がある市(金額が大きいもの)
| 市名 | 制度 | 金額 |
|---|---|---|
| 秩父市 | 出産祝い金 | 第1子12万円 / 第2子30万円 / 第3子以降50万円 |
| 上尾市 | 結婚新生活支援事業 | 最大60万円 |
| 加須市 | 引越費用助成+加須産米贈呈 | 引越費用10%(上限2万円)+米 |
お試し移住・体験住宅
| 市名 | 制度名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 秩父市 | お試し居住 | 無料・2泊3日〜6泊7日。秩父産杉材の専用住宅。Wi-Fi完備 |
| 加須市 | 移住体験ツアー | 無料・オーダーメイド型 |
| 日高市 | 移住体験ツアー | 実施あり |
| 飯能市 | 農のある暮らし移住体験ツアー | 南高麗地区の農作業体験・移住者交流 |
ポイント: 埼玉県でお試し居住施設があるのは秩父市のみ。他は体験ツアー形式。
東京からのアクセス比較
| 市名 | 最寄り路線 | 東京主要駅まで | 車の必要度 |
|---|---|---|---|
| さいたま市 | 東北・上越新幹線 | 大宮→東京 約25分 | なくても可 |
| 川口市 | JR京浜東北線 | 川口→上野 約20分 | なくても可 |
| 戸田市 | JR埼京線 | 戸田→池袋 約20分 | なくても可 |
| 和光市 | 東武東上線 | 和光市→池袋 約13分 | なくても可 |
| 朝霞市 | 東武東上線 | 朝霞→池袋 約20分 | なくても可 |
| 所沢市 | 西武池袋線 | 所沢→池袋 約22分 | あると便利 |
| 川越市 | 東武東上線 | 川越→池袋 約30分 | なくても可 |
| 飯能市 | 西武池袋線 | 飯能→池袋 約38分 | 市街地は可、山間部は必須 |
| 熊谷市 | 上越新幹線 | 熊谷→東京 約40分 | あると便利 |
| 本庄市 | 上越新幹線 | 本庄早稲田→東京 約50分 | あると便利 |
| 秩父市 | 西武池袋線 | 秩父→池袋 約80分(特急) | 必須 |
調べてみて分かったこと
- 移住支援金の対象は極めて少ない: 県が公表する対象は15市町村で、40市のうち該当するのは秩父市・飯能市・本庄市の3市のみ。埼玉県は「東京圏」のため大半の市が対象外
- 子ども加算は市町村ごとに違う: 県の表記は「30万〜100万円」で、全国一律ではありません。確認できた範囲では飯能市・本庄市が1人につき30万円。他県では100万円/人としている自治体も多く、同じ「子ども加算」でも額の幅が大きいことになります
- こども医療費は確認した7市がいずれも18歳まで・自己負担なし: 埼玉のこども医療費は市町村ごとの制度で県が年齢や自己負担を決めているわけではありませんが、2026年8月8日に確認した7市(朝霞・東松山・入間・鴻巣・志木・草加・和光)はどれも18歳の年度末まで・所得制限なし・保険診療の自己負担なしで揃っていました。ただし入院時の食事代の扱いだけは割れていて、東松山市は助成対象、鴻巣市は平成27年4月で廃止、和光市は助成不可と明記しています。残り33市は未確認です(当初は「全40市で18歳まで」と書いていましたが、2026年8月8日に訂正しました)
- 独自制度の差が大きい: 熊谷市の新幹線通勤補助、飯能市の農のある暮らし、秩父市のお試し居住など、各市が工夫を凝らしている
- 三世代同居・近居支援が多い: 鶴ヶ島市(最大100万円+)・坂戸市(最大70万円)・蕨市(最大50万円)・吉川市(基礎20〜30万円+加算)など、親との同居・近居を支援する制度が目立つ
- 東京への近さが最大の武器: 大半の市が東京まで1時間以内。通勤圏としての利便性がそのまま移住の理由になっている
- 空き家バンクは34/40市: 広域連携型が多く、制度としては選択肢が広い。ただし戸田市・吉川市のように登録物件がゼロの市もありました
- 東京圏の市は「移住」より「引っ越し」: 戸田市・吉川市を詳しく調べた際、移住支援金も市独自の一時金も引越費用補助も見当たらず、代わりに住宅リフォーム補助・奨学金返還支援・子育て支援といった「住み始めてから効く制度」が並んでいました。支援金を軸に比べる読み方は、この2市には当てはまらなさそうです
注意点
- 金額・条件は2026年3月18日時点の調査です。年度替わりで変更される可能性があります
- 移住支援金の対象15市町村・金額・加算額は2026年8月2日に県公式ページで再確認しました。戸田市・吉川市、および深谷市・日高市・幸手市の記述も同日の再調査にもとづきます。それ以外の市は3月時点の調査のままです
- 深谷市・日高市・幸手市は、当サイトのデータ上で誤って国の移住支援金の対象として扱われていました。2026年8月2日に県公式の対象市町村一覧で確認のうえ「対象外」に修正しています(3市とも記事本文には当初から「対象外」と書いていましたが、データ側が食い違っていました)
- 令和7年度の受付が既に終了している制度が複数あります
- 埼玉県の移住支援金の対象市町村は変更される場合があります。最新の対象リストは埼玉県公式ページで確認してください
- 移住支援金は「対象市町村の予算の範囲内で支給される」と県が明記しています。要件を満たしていても支給されないことがあるため、申請前に市町村へ確認してください
- 三世代同居・近居補助は令和6年度の情報が中心で、令和7年度の継続は各市に要確認
- 給食費は令和8年度から国の負担軽減が始まっており、市独自の無償化と混在しています。上の表は市独自の取り組みを中心にまとめたものです
- こども医療費の表に載せているのは、2026年8月8日に担当課ページで内容を確認できた7市だけです。埼玉のこども医療費は市町村がそれぞれ実施する制度なので、「県内は一律」という読み方はしないでください
データの出典
すべて各市の公式サイトから取得しています。各市の詳細ページから出典リンクを確認できます。