お試し移住ってなに?
お試し移住(体験住宅)は、移住を検討している人が短期間その地域に滞在して、実際の暮らしを体験できる制度です。自治体が用意した住宅に数日〜数週間住むことができ、「観光では分からない日常の暮らし」を事前に確認できます。
ホテルに泊まる観光旅行とは違って、スーパーで買い物したり、車で通勤ルートを走ってみたり、冬の寒さや雪の量を体感したり。住んでみないと分からないことを、移住前に試せるのがこの制度のポイントです。
792市のうち288市(36%)が制度あり
このサイトで調査した792市のうち、お試し移住・体験住宅の制度が確認できたのは**288市(36%)**でした。
移住支援金(78%)や空き家バンク(81%)と比べると普及率は低めです。ただし、制度がなくても「移住相談時に紹介できる民間の短期賃貸がある」といった自治体もあるので、制度の有無だけで判断するのは早いかもしれません。
地域別の傾向
お試し移住制度がある288市を地域別に見ると、明確な差がありました。
| 地域 | 制度あり | 市の数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 四国 | 28市 | 38市 | 73% |
| 中国 | 39市 | 54市 | 72% |
| 東北 | 35市 | 77市 | 45% |
| 中部 | 67市 | 164市 | 40% |
| 北海道 | 11市 | 35市 | 31% |
| 近畿 | 33市 | 125市 | 26% |
| 九州・沖縄 | 46市 | 119市 | 39% |
| 関東 | 29市 | 180市 | 16% |
四国(73%)と中国地方(72%)が突出して多いのが目立ちます。一方で関東はわずか16%。都市部に近い県ほどお試し移住の需要が少ない(そもそも日帰りで見に行ける)ということかもしれません。
都道府県別で見ると、富山県(80%)、愛媛県(82%)、徳島県(87.5%)が特に高い水準です。大阪府は0%(33市でゼロ)という極端な結果も。
無料と有料、どっちが多い?
お試し移住の費用は自治体によって異なります。大きく分けると3パターンあります。
無料型: 滞在費がかからないパターン。光熱費も含めて完全無料のところと、光熱費だけ実費負担のところがあります。
たとえば南相馬市(福島県)では、お試しハウスが無料で1回最大10泊、年3回まで利用可能。さらにレンタカー代の補助(上限13,200円)やタクシー代の補助(上限19,860円)まであり、交通費の心配もほぼ不要です。
低価格型(1泊1,000〜4,000円程度): 最も多いパターン。ビジネスホテルより安く、家具・家電付きの一軒家やアパートに泊まれます。
伊那市(長野県)の田舎暮らしモデルハウスは1泊4,000円の定額(人数に関係なく)。冷蔵庫、洗濯機、IHキッチン、ストーブなど生活に必要なものが一通り揃っています。
移住体験ツアー型: 特定の日程で移住体験プログラムを実施するパターン。住居の提供というより、地域の案内、先輩移住者との交流、仕事体験などがセットになっています。1日〜数日の短期が多いです。
滞在期間の幅
お試し移住の滞在期間は、自治体によってかなり幅があります。
| 期間 | 内容 |
|---|---|
| 数日〜1週間 | 「お試し」としては最も一般的。週末+有休で利用しやすい |
| 2週間〜1ヶ月 | じっくり体験したい人向け。季節の変化も感じられる |
| 3ヶ月〜半年 | 本格的な移住体験。仕事をしながら滞在するケースも |
| 最長1年 | ごく一部の自治体。ほぼ「お試し移住」というより「短期移住」 |
短期のほうが競争率が高い傾向があります。人気のある自治体は予約が数ヶ月先まで埋まっていることも。計画は早めに立てるのが吉です。
お試し移住がない自治体はどうする?
792市のうち64%にはお試し移住制度がありません。でも、制度がないからといって「行ってみる手段がない」わけではありません。
代替手段:
- 民間のゲストハウス・Airbnb: 地方にも増えている。地域の雰囲気を知るには十分
- ウィークリーマンション・短期賃貸: 1週間〜1ヶ月の滞在なら選択肢になる
- 移住相談窓口に相談: 制度としてはなくても、地域の宿泊施設を紹介してくれることがある
- 移住フェア・現地見学会: 自治体が不定期で開催していることがある。交通費の補助が出る場合も
自治体の制度を使うメリットは「安い」ことですが、移住体験そのものは制度がなくてもできるということは覚えておいてよいかと思います。
お試し移住を使うときのポイント
調べていく中で「これは知っておいたほうがいい」と感じたことをまとめます。
季節を変えて複数回行く: 夏に行ったら最高だったのに、冬は雪がすごくて想像と違った…という話はよく聞きます。可能であれば、異なる季節に2回以上訪れるのがおすすめです。特に雪国への移住を考えている場合、冬の体験は必須と言っていいでしょう。
「観光モード」を意識的にオフにする: お試し移住中は観光地を巡るのではなく、日常の行動をしてみること。スーパーでの買い物、病院への距離、通勤ルートの確認、近所の雰囲気など。退屈に感じるくらいの「普通の日」を過ごすのが、本当の意味での体験になります。
地元の人と話す機会をつくる: 自治体の移住相談員や先輩移住者と話す機会があれば積極的に活用しましょう。ネットの情報では分からない「実際のところ」が聞けます。
調べてみて分かったこと
- お試し移住制度がある市は全体の36%(288/792市)。 移住支援金や空き家バンクほどは普及していない
- 四国・中国地方は7割超、関東は16%。 地理的にアクセスしにくい地域ほど制度を整備している傾向
- 無料から1泊数千円まで幅がある。 南相馬市のように交通費補助まで出る自治体もある
- 制度がなくても体験する方法はある。 民間の宿泊施設や移住相談窓口を活用すればよい
お試し移住は「いいな」と思った地域を、移住前に冷静に確認するための仕組みです。「行ってみたら思っていたのと違った」が分かるのも大事な成果。合わないと分かったら別の地域を探せばいいので、気軽に使ってみるのがいいと思います。
※ この記事は個人の調査に基づくものです。制度の詳細や最新情報は、必ず各自治体の公式ページでご確認ください。 ※ 調査データは2026年4月時点のものです(47都道府県792市。初版は214市で2026年3月20日公開、792市に拡大更新)。