移住支援金ってなに?
「移住支援金」は、東京圏から地方へ移住する人に対して、国と自治体が共同で支給するお金です。正式には「移住支援事業」といって、2019年度から始まりました。
ざっくり言うと、東京23区に住んでいた(または通勤していた)人が、地方の対象自治体に移住して、一定の条件を満たすと支援金がもらえるという制度です。
金額の基本構造
全国共通の基本金額はこうなっています(2026年3月時点)。
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 単身 | 60万円 |
| 世帯(2人以上) | 100万円 |
| 18歳未満の子ども加算 | 1人あたり100万円 |
たとえば夫婦+子ども2人の世帯なら、100万+100万+100万=最大300万円になります。これだけでもかなりの金額です。
主な条件
もらうにはいくつかの条件があります。ここが意外とややこしいので、整理してみました。
移住元の条件(どこから来るか):
- 東京23区に住んでいた、または東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の条件不利地域以外)から23区に通勤していた
- 移住直前の10年間のうち、通算5年以上が上記に該当すること
- 移住直前に連続1年以上が上記に該当すること
移住先の条件(どこへ行くか):
- 移住支援事業を実施している自治体であること(全自治体ではない)
就業等の条件(何をするか):
- 移住先の都道府県が運営するマッチングサイトに掲載された求人に就職する
- または、テレワークで移住前の仕事を継続する
- または、移住先で起業する(起業支援金の交付決定を受ける)
- または、専門人材として就業する
調べて分かった「自治体ごとの差」
ここからが自由研究の本題です。792市を調べてみて分かったのは、基本の仕組みは全国共通でも、実際の金額は自治体によってけっこう違うということでした。
子ども加算が違う
ほとんどの自治体は子ども1人あたり100万円ですが、一部の自治体は独自の金額を設定しています。
| 自治体 | 子ども加算(1人あたり) |
|---|---|
| ほとんどの自治体 | 100万円 |
| 笛吹市 | 30万円 |
| 駒ヶ根市 | 30万円 |
| 茅野市 | 20万円 |
同じ県内でも市によって金額が違うので、「○○県は子ども加算が○万円」とは一概に言えません。
独自の上乗せ制度がある自治体
国の移住支援金に加えて、自治体独自の支援制度を持っているところがあります。住宅取得補助と組み合わせると、合計金額が大きくなるケースも。
たとえば大月市(山梨県)では、移住支援金とは別に中古住宅取得助成金(最大150万円)や住宅新築助成などがあり、すべて組み合わせると最大500万円規模の支援になる可能性があります。
福島県の12市町村は別格
福島県の原発事故で避難指示が出ていた12市町村(田村市・南相馬市など)には、通常の移住支援金とは別の特別な制度があります。
| 区分 | 通常の移住支援金 | 12市町村の支援金 |
|---|---|---|
| 世帯 | 100万円 | 200万円 |
| 単身 | 60万円 | 120万円 |
| 子ども加算 | 100万円/人 | 100万円/人 |
| 対象 | 東京圏から | 全国から |
特に注目なのは、12市町村の制度は東京圏に限らず全国どこからの移住でも対象になること。南相馬市のように両方の制度に該当する場合、合計で300万円になる可能性もあります。
注意点
調べていく中で、「ここは気をつけたほうがいい」と思った点をまとめます。
返還条件がある: 移住支援金を受け取ったあと、5年以内に転出したり、1年以内に退職したりすると、全額または半額の返還を求められる場合があります。これはほぼすべての自治体で共通のルールです。
年度ごとの予算枠がある: 年度途中で予算上限に達すると受付終了になることがあります。実際に調査中にも「令和7年度の受付は終了しました」と表示されている自治体がいくつもありました。年度が変わる4月以降に改めて確認が必要です。
条件は想像以上に細かい: 「東京圏に5年以上」「連続1年以上」などの条件は、引っ越しの時期によっては微妙なラインになることも。自分が該当するかどうかは、移住先の自治体に直接問い合わせるのが確実です。
調べてみて分かったこと
792市の移住支援金を調べてみて、全体として以下のような傾向がありました。
- 78%の市(617/792市)が移住支援金制度を実施している。 かなり普及している制度と言える。対象外の175市は主に東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の大部分)と大阪府に集中している
- 基本金額は全国共通だが、子ども加算や独自制度で差が出る。 特に住宅支援との組み合わせで合計額が大きく変わる
- 制度は毎年度見直される。 金額や条件が変わる可能性があるので、必ず公式ページで最新情報を確認してほしい
移住支援金は「もらえたらラッキー」くらいに考えておいて、移住の判断そのものは支援金の額だけで決めないほうがいいのかなと個人的には思いました。制度はあくまで後押しであって、主役は暮らしそのものなので。
※ この記事は個人の調査に基づくものです。制度の詳細や最新情報は、必ず各自治体の公式ページでご確認ください。 ※ 金額や条件は2026年4月時点の調査です。年度替わり等で変更される場合があります。 ※ 調査対象: 47都道府県792市(2026年4月6日時点。初版は214市で2026年3月20日公開、792市に拡大更新)